今日のニュースでも、哲学の木が切られたことを放送していた。
実際の映像を見ると、怒りが湧いてくる。
一番木を伐りたくなかったのは地主さんだ。
なのに、畑に不法侵入する輩のせいで、木を伐らざるを得なくなった。
畑に不法侵入し、畑に外来菌が繁殖すると、作物が育たなくなる。
作物がつくれなければ、農家の人の生活が絶たれる。
畑がなくなったら、美瑛の風景も木も、見られなくなるんだよ。
5年前の震災を思い出してほしい。
福島第一原子力発電所が事故を起こして、立ち入り禁止区域が設けられた。
除染はままならず、未だに復興の兆しは見えない。
帰還できますよと謳っても、戻る人はほんの数人。
昔そこに住んでいた人たちは、他の都道府県で暮らしている。
帰る人が少なければ、町としても成り立たない。
昨日まで暮らしていた町が、ある日突然住めなくなる。
昨日まで見られた景色が、ある日突然見られなくなる。
原発事故とは異なるけど、哲学の木がなくなったのは、それと同じことのように思えた。
「いい写真が撮りたい」って畑に入る奴。
あんたは、自宅に見知らぬ人が土足で入っても怒らないのか?
部屋を荒らされても平然としていられるか?
自宅の敷地内に、赤の他人が飼っている犬のフンをさせてもいいのか?
畑に入るってのは、それと同じことだよ。
どんな菌が付着しているかわからない靴で、体で、畑に入るってのは、他人の家の庭でクソするのと同じだよ。
「いい写真」ってのは、至近距離で撮影した写真じゃない。
マナーを無視して撮影した写真は、いい写真って言わないよ。
美瑛町観光協会が作成しているパンフレットに、このような文章があった。
パッチワークの畑は二度と同じ景色に出会えない?
この地域では、作物が連作障害を起こさないように、同じ土地に続けて同じ作物を植えることはありません。4~5年ごとにローテーションを組んで、作物を計画的に栽培する輪作により、安全・安心の農作物は生まれています。
つまり、パッチワークの畑は毎年植える作物が変わり、畑の色も変わります。
今見ている景色との出会いは、まさに一期一会なのです。
キレイなお花畑は景観のためじゃない?
パッチワークの丘を見渡すと、所々に黄色いお花畑が広がっていることがあります。
ヒマワリやキカラシの花が植えられた物ですが、実はこの花畑、開花後まもなく土の中に鋤(す)き込まれてしまいます。緑肥と呼ばれ、畑の土の肥料とするために植えられた花だからです。
もしかしたら、今日あった花畑も、明日にはなくなっているかもしれないのです。
(『北海道・美瑛 ~丘のまちびえいですごす休日~』より引用)
美瑛の丘は、同じ風景は二度と見られない
美瑛町の観光資源は風景だ。
その風景は農家の方達の努力で成り立っている。
畑への不法侵入者が絶えないせいで、農家が離農したらどうする?
美瑛町はあっという間に観光資源を失うよ。
美瑛が好きなら、憧れがあるなら、マナー違反をなくせ。
「自分一人くらいが畑に入っても大丈夫」なんてやるから、木がなくなったんだよ。
この先、マナー違反がなくならなければ、哲学の木以外の木も、どんどん伐り倒される。
農家さんが離農すれば、美瑛の景色は二度と見られない。
美瑛の風景をつくっているのは農家。
不法侵入は、景色を作り出す農家を踏みにじる行為だ。
マナーを遵守してこそ、美瑛の風景を残せるのです。
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