札幌バイオ産業拠点化ですべきことはハコモノをつくることじゃない

2016年1月27日の読売新聞より。

札幌市が、バイオ産業の誘致と育成に力を入れている。
企業誘致の中核で、IT(情報技術)産業の拠点「市エレクトロ二クスセンター(厚別区)」を部分改修し、事件執拗に床面の防水や換気機能を向上させた「ウェットラボ」を開設。
今年に入って同ラボに初めて企業が入居し、取り組みに弾みがつきそうだ。

札幌市が、バイオ産業の誘致と育成に力を入れる背景には、人口減社会の到来がある。
(中略)
人口減の要因の一つは、若者の道外流出だ。
いち早く企業のコールセンターを積極誘致し、雇用の確保につなげたとして知られる札幌市だが、とくに最近では「理系学生の札幌離れ」を問題視している。
市内には北海道大や札幌医科大などがあるが、理系の大学・大学院生の就職先は道外が5割超となっている。研究職などの受け皿となる「拠点」が札幌には手薄である点も一因にある。

バイオ産業の育成は、そんな課題を解決する有効な一手として期待される。
札幌市が「バイオ産業の先進地」となれば、有能な理系人材の受け皿を作り出すというだけではなく、豊富な農林水産資源を武器として、北海道が様々なバイオ商品の原料調達先となれる潜在力も秘めている。

遅いよ。

バイオバブルに沸いたのは、2003年〜2006年頃。この頃がピーク。
そのあとは先細りになっている。
企業の研究所も、バイオバブルが弾けたとたん、縮小や閉鎖が相次いだ(2007年頃)。

今、それほどバイオって言わないでしょ。
なのに、わざわざ費用をかけて研究室用に改修しちゃったのね。
ラボ系のハコモノ、札幌はありあまってまっせ。

札幌市だと、北大構内に2箇所、企業が入居できる研究室がある。
今調べたら、空き部屋が5〜6部屋あった。
2箇所とも、北大の研究室と提携することを条件に入居可。

コラボほっかいどう(http://www.noastec.jp/corabo.html)

北大ビジネス・スプリング(http://www.smrj.go.jp/incubation/ho-bis/054214.html)

バイオ産業の拠点は、大学だけではない。

産業技術総合研究所(通称:産総研)は、企業を誘致する場所ではないが、ラボの空き部屋がたくさんあった。
空き部屋が出た時点で、企業を誘致すればよかったのに。

ハコモノをつくったところで、人は集まらない

バイオ系の学部に在学していたり、それに近い分野の勉強をする学生は、全国に存在する。
しかし、卒業後は、バイオとは全く関係ない分野に就職する人が少なくない。

バイオ系の大学を出てIT系とか、試薬の営業職に就く人が圧倒的に多い。
アカデミアや民間企業に関わらず、研究職に就ける人はほんの一握り。
「本当は研究職がよかったのに・・・」と嘆いている人を何人も見てきた。
(中には、研究職より他のことをやりたくて、異分野に就職する人もいます)

なぜ、企業を誘致出来ないのか?
なぜ、理系人材が流出するのか?

バイオ系の人材が集まらない理由は以下。

  1. 研究職の受け皿が少ない。民間企業でも5人程度しか採用しない(大手・中小とも)
  2. 研究職の求人があっても、ベンチャーだと不安定で、学生が敬遠する
  3. 博士号を取得しても、職に就ける保証がない。ポスドク等の任期付きの仕事が多い

企業を誘致出来ない理由は以下。

  1. バイオ系の会社はイニシャルコストがかかる
  2. 研究と実用化のギャップ。研究は出来ても実用化に結びつかないことが多い
  3. 物流が悪い

どう?厚別に研究所をつくったからって、すぐにバイオ産業の拠点にはならなそうでしょ。

どうすれば札幌バイオ産業拠点となるか?

「バイオ産業=医薬品」の概念を捨てる

バイオ産業と聞くと、何が思い浮かびますか?

医薬品開発を思い浮かべがちだけど、バイオ産業で一番失敗のリスクが高いのは医薬品系です。

クリーンベンチを1台、遠心機を1台買うだけも何千万もするし、開発した医薬品が厚労省に承認されて世に出回らないと、お金にならないのです。

新聞の記事に掲載されるのはiPS細胞のことだったり、再生医療分野が多い。

バイオ産業と一口に言っても多様で、健康機能性食品だったり、分解性プラスチックなどの素材系の分野だってあります。素材系は政府機関の承認は不要だから、大量生産できれば商品化に直結しますよ。

プラスチックを分解する薬品を製品化したり、雑草や不要な樹木から燃料を作り出す研究も展開されているのだから、そっちにも目を向けるべし。

と、ここまで書いてみましたが、産業拠点化の決め手となるアイディアは思いつきません。
読者の方はどう思いますか?ご意見お待ちしています。

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