素人が悩みの相談役になってはいけない2つの理由

あなたの家族や友人に悩んでいる人はいませんか?
そんなとき、こう言っていませんか?

「カウンセリングなんてお金の無駄よ。お母さんがお話を聞いてあげるわ」
「私なら親身になれるよ。なんでも話して。友達でしょ」

絶対にやめてください。
相手が問題を棚上げして歩き出せるまで付き合う覚悟と力量がないなら、安易に相談に乗らないでください。

なぜか。
無理解で相手をさらに傷つけるため。
あなたと相手の人間関係を守るため。
素人が人の相談に乗るべきではない理由を以下に述べる。

1) 素人の無理解がますます相手を傷つける

「相手も謝ったんだから、許してあげなさい」
「あなたにだって悪いところがあるのに」
「何度も同じ話をされてうんざり。私の気持ちをフラットにしてよ」

何が寄り添うだ!
何が親身になるだ!
嘘つき。
てめえも加害者だ!死んで詫びろ!

相談者は話を聞いて、辛い気持ちを受け止めて欲しいのです。
否定や説教なんてされたら、解決するものも解決しません。
否定や説教をして「寄り添ってる」なんて、迷惑極まりない。

2) 知りたくない面を知って、今までと同様に接せなくなる

相手の知りたくない面を知ったらどうしますか?
暴言暴力のオンパレード、倫理的に正しくないことを話されて、あなたは相手をフラットに見られますか?
フラットに接せますか?

もし、相談者が以下の発言をしたら、あなたはどのように感じますか?
「自分を傷つけた人物Aが、交通事故で死んだ。ザマアミロ!」

それを聞いたら、おそらく素人はこう発言するのではないでしょうか。
「最低。いくらAが許せないからって、死んでよかったなんて・・・」と。

言葉に出さなくても、不快感や相手に対する恐怖を出すのではないでしょうか。

「見方が変わった。怖くて今までと同じように接せないよ」
「私のことも気に入らなければ、殺したいっていうのかな?」

相手を疑いの目で見て、突き放すのなら、最初から相談に乗るな。

心理カウンセラーと素人の違い

心理カウンセラーは、どれだけ過激な内容を話しても、決して否定も説教もしません。
相談者が気持ちを吐き出せるまで、遮ることも急かすこともなく、最後まで耳を傾けます。
思いを受け止めてくれます。

先に述べた、一般的に口に出すのが許されない言動をしても「そうなんですね」と受け止めます。

不快感をおくびにも出しません。
正確には、カウンセラーの心に波風がたっても、すぐに切り替えてクライアントの話に耳を傾けます。

相談者の話を聞いて、負の感情に飲まれることもありません。
そのような訓練を積んだ人たちです。

人の相談に乗ることがどういうことか知ろう

放送大学大学院の講義に、「臨床心理面接特論Ⅰ(’19)-心理支援に関する理論と実践」という科目があります。
その中の、第3回「心理療法の器」を聞いてください。
放送大学大学院に在学していなくても、ラジコ(Radiko)で聴講できます。

公認心理士を目指すかどうかは別として、人の相談に乗ろうとする人や、心理職以外で人の相談に乗ることが多い人は聞いて欲しいです。

素人が安易に相談に乗ってはいけないこと、カウンセリングの枠組み、人の相談に乗ることがどのようなことかがわかりやすく解説されています。

内容をざっくりまとめると以下

・カウンセリング料金を払うことで、クライアントとカウンセラーが対等な立場になる
・クライアントは何を言っても許されるし、守られる。
・クライアントがカウンセリングで話した内容が外部に伝わることはない
※犯罪や命に関わる場合は、クライアントに伝えた上で、外部に情報公開する場合はある。

・クライアントがカウンセラーに暴力行為を働くのは禁止。逆も然り。
暴力や性的な要求とは異なっても、相手に触れる行為も禁止。
「抱きしめてほしい」「頭を撫でて欲しい」などの欲求には、カウンセラーは一切応えられない。

・カウンセラーからクライアントにカウンセリング以外の何かを求めることはない。
問診票の記入や、バウムテストなどで絵を描くなどの指示はあったとしても、治療に関係ない内容の要求は一切禁止(恋愛対象など)。
※バウムテスト:治療方針を決める方法(アセスメント)の一つ。
クライアントに樹木の絵を描いてもらい、心理状態や状況を把握する。

・決まった日時、決まった場所で話すことで、「お互いに依存して共倒れ」がない。
時間や場所の制限なしでカウンセリングをして、クライアントとカウンセラーが共依存になったという事例がある。故に、カウンセリングは時間と料金の設定が必要となった。

相手が問題を解決して歩き出せるまで静かに見守るのも支援

どうかな。
人の相談に乗るということが、簡単なことではないことがわかるはず。
ましてや、安易に相談に乗るということが、どれだけ危険極まりないことかがわかると思います。

それでも相手を助けたいと思うのなら、すべきことは一つ。
相手が問題を解決して歩き出せるまで静かに見守る。これだけです。

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