放送大学の発達障害に関する講義が素晴らしすぎるので必修科目にすべき

放送大学の発達障害の講義が素晴らしすぎる。
「精神疾患とその治療 第11回」の内容は、全国民必修科目にすべき。
障害の当事者やその家族、関わる人を責めるでも排除するでも崇めるでもない内容。
背景と特性、支援について述べています。

下手な本(配偶者や家族が発達障害で、支える家族の視点(ほとんど恨みつらみ)で書いたコミックエッセイ)や、ネット情報に振り回されるよりも、この講義を聞くのがベスト。

全国民が聞くべき講義です。
Radikoで聴講可能です。Radikoアプリは無料でインストールできます。

以下、わたしが聴講して書いたノート。
知って欲しいことは太字にしました。

講義名:精神疾患とその治療第11回

1) 概要

一部の専門家のみの概念ではない。通常番組でも取り上げられる。
雑誌、ネット、様々なマスコミも同様
取り上げられない日はない
なぜそこまで概念が広まったか。

障害と診断される人:人口の1割。極めてありふれた状況。
35人学級で、2~4人。

社会人も同様。
人間関係や集団生活で様々なトラブルに特性が加わる→露呈、明らかになる
子供時代は問題ないが、社会人になって初めて表に出る

本人の努力不足ではなく、生まれつきの特性が関係している。
努力不足は違う。
環境特性で違う道が開ける

老年期の発達障害も介護現場で露呈。
認知症と異なり、生まれ持った得手不得手がある。一生続く。

医療モデルで対応できない。何かの脳機能の原因というのはわかるが、それ以上は不明。
悪いところを治療する、検査で見つけるのは不可。
一人一人の特性を見て、毎日の生活の質を改善する。

社会と個人の不適応を改善する。
不適切な対応が続くと、元来の発達特性に加え、二次障害が発生。
二次障害は適切な対応をすれば十分予防できる

2) 巡る誤解(印刷教材表11-2)

生まれつきの中枢神経系が原因。親のしつけは関係ない。
愛情不足、育て方が悪いなどと言ってはいけない。
偏食、食事の好き嫌い:わがままと誤解されがち。感覚過敏が原因。

適切な支援につなげるため、個性や性格という安易な気休めもNG。
医学的に治癒できないのだが、特性に合わせた工夫した関わりで、その子のペースで発達して行く。

その子に見合った時期に、適切な支援を受けるのが大事。

早期発見、早期対応が大事と言われる。
ここでいう早期は3~5歳。幼児期を指す。
発達障害は一生続くので、その人や家族が困った時が早期。
うまくいってるときは支援不要。何かの壁にぶつかった時に支援が必要。

3) 定義

生まれつきの発達の凸凹に、日常生活の不適応が加わった状態。
凸凹:特性と同義。全員持っている。特性に優劣はない。
五感、運動の力、会話の力、段取り、など。

大人になれば、思考力、学習、忖度なども必要。
人間が本来持つ特性に凸凹があり、なんらかの不適応が障害。

不適応:環境と特性のミスマッチ。
状況の依存性がある。適切な環境調整があれば良い。

知的が遅い:その子にあったカリキュラムを作れば良い
状況依存性が支援の大事なところ。

特性があっても特性にあった環境(苦手は他者がサポート、得意はその人が発展させる)があれば良い。

支援の目標:特性に合わせた環境調整することで、発達が伸びて行く
凸凹があっても毎日スムーズに過ごせればOK。
不適応、障害の線引きが不明確

大事なのは、たとえ障害が軽くても、本人が生活に困っていれば支援が必要である。

3-2) スペクトラム概念

濃い~薄いの連続的概念。グラデーション。連続体の概念。
重度の障害があっても、支援が行き届いて、毎日がスムーズなら不適応は小さい。
どのみち、不適応が最小限になるように支援するのが目標。

H16(2004年)に制定された発達障害支援法に記載。
自閉症、ASD、その他の後半生発達障害、ADHD、LD、に類する脳機能の状態。
その機能が低年齢で発令する状態。
凸凹だけで発症しない。
脳機能の障害がある=発達障害となりがち。

H28(2016年)発達障害者支援法が改正される。
社会的障壁という概念が取り込まれる。
障害があるものであって、障害および社会的障壁によって、社会生活に影響を受けるもの。
障害のみでは障害にならない。社会的障壁が問題。
障害のみ~障害にならない。それを妨げる社会的障壁が下人。

障壁:ミスマッチ、不適応。
支援法:社会的障壁:日常生活、社会生活の上で社会に置ける、事物、刊行、観念など全て
障害に対する配慮がない、制度上の不利益、バリアフリーの欠如、障害自体に対する差別や偏見。
これらが障害となり、発達を妨げる。

4) 6つの障害(印刷教材表11-3)

一人一人を見ると、一人が一つの障害を持つのはまれ。複数の障害を併せ持つ。
一つの荷重ではなく様々な要素が含まれる。

便宜上、6つに分けている。
診断名が変遷している。
知的障害、自閉症スペクトラム症、ASD、
知能、運動能力、コミュニケーション、注意力、学習能力、複数の運動の協調性、6つの分類に分けている

4-2) 対応のコツ

対応や支援:診断名に基づいて出されるものがない。診断名と1:1で対応するのではない。
一人一人の特性を分析して、日常生活で何に困っているか(主訴)をスタートとしていく。

診断名はヒントを与えるものでしかない。

①知的発達症:

知的障害。年齢相応の知能を獲得していない。遅れにあった対応する。
暦の年齢ではなく、発達の年齢にあった対応。
4歳ではタッツ指数70=4*0.7=2.8。3歳手前の知能レベル。
10歳x0.7=7。7歳の知能レベル。
話す方に注意を向けるのが苦手。複数いるとどこに注意を向ければいいのか不明。
視覚に伝える。
理解不十分で返事をする。
ここに注意を向けさせる、言葉も平易に、理解の度合いを確認する。一つ一つ丁寧に学習させる。
気持ちを行動で表現する。言葉で伝えるのが苦手。
本人が何を伝えたいか周りが知る。

運動発達遅滞:狭い意味の発達障害に含まれない。日常生活に支障あり。
脳性麻痺、ダウン症、肢体不重視。
集団生活など、あらゆる場面での配慮が必要。
大人ができることはするが、必要以上にすると、自立を妨げる。
背景に様々な疾患。てんかんの合併で服薬。
心臓の疾患、頚椎の疾患など。専門機関や主治医に確認しよう。

②自閉スペクトラム

コミュニケーション、興味の偏り、こだわり、感覚
言葉、非言語を問わず、コミュニケーションのやりとりが苦手、コミュニケーションの豊かさ、関わりを増やす。

興味の対象物を子供と一緒に遊ぶ。大人が子供に合わせる。
言葉のみではなく、非言語コミュニケーションを豊かにする。

楽しい時間を共有、子供と一緒に笑い合う。
自分だけの言葉にならないように、他者との経験を重ねる。

言葉はコミュニケーションの手段と実感させる。
時間、空間の見通しをよくするようにする。

予想外のスケジュールが苦手。空間調整。
感覚過敏への配慮が大事。普通の刺激も激しく感じる。幼児期は聴覚、味覚、触角がNG。
刺激の源と距離を取りなら徐々に鳴らす。無理強いさせるとトラウマになる。
目に見えないこと、たとえ話、言葉の裏を読めない。
そんなの当然と思わず、都度説明する。
興味の偏りやこだわりはプラスになる。その子の強みにしよう。
成長するにつれ、表面的には問題ないと見える。実は当事者の感じ方は独特。
何があるのかわかってない。

③ADHD:注意欠如多動症

多動、衝動、不注意。体も気持ちも様々な刺激に反応
刺激の数を減らす。

多い場合は、重要な情報を協調、メリハリつけて提示。
長い課題は小刻みに。小休止を入れる。
本人への個別の注意がけが必要。
不注意による忘れ物には積極的に関与。
年齢とともに改善されていく。成長とともによくなる。自尊心を傷つける言動はNG。

改善薬は70~80%。薬の力を借りながら発達を伸ばしていく。

④限局性学習症:字の読み書き

読字障害、書字障害、算数障害、(旧学習障害)
その他の障害があればそれが優先される。
知能低下、その他の障害がないかを確認。他のがあればそれを治す。
本物ならそれがどんなことが原因か、パソコンやタブレットの導入、得意科目の強化

⑤ 体の使い方、跳び箱、雲底、手先の障害
(鉛筆、書字、ハサミ、ファスナー)など微細運動が苦手。

気合いや根性で治らない。
苦手な身体活動の分析を行い、一つ一つスモールステップで克服。
努力の無理強いは苦手意識を増やすだけ。

4-3) 大人の発達障害

なんとかやってこられた本人の対処法がある。
子供のうちから診断、支援があった、どんな支援があってどう切り抜けたのか
大人:診断なしでやってきた強みがある。工夫した成功体験を振り返る、限界点を知る。それまでの努力を労い新たな方法を探す。

5) 二次障害

不適切な対応が続く状態
引きこもり、暴力、反社会的行動(表の11-4)

どんな症状でも、目の前の症状に治療する
二次障害を引き起こす原因となった環境を少しずつ帰る。一朝一夕には変えられない。

本人の辛さ、家族の辛さを受け止めながら直していく
生まれつきの中枢神経系の障害

強烈なトラウマが原因の場合がある。
いじめ、戦争などで、脳の機能や形態が変化。
多動、癇癪、がおこる。精神疾患に発展。虐待の後遺症がほとんど。

発達障害がなくても、似たような傾向を占める。
混じっていることも多い。

5-2) 保護者への支援

障害のある子の子育ては大変。
良かれと思って抱きしめても、感覚過敏の子供が号泣。親が途方にくれる。

親を責めるのはNG。
親の辛さに耳を傾け、親なりにしてきた対処をねぎらい、子供のと癖にあった支援を考える。
躊躇なく様々な社会資源を利用しよう。

6) 障害の支援。

発達の最大の要因は成功体験。
障害があると一人では成功体験を積みづらい。

障害があると、もともとうまくいかないことが多く、失敗の連続。
そこから学び、成功に切り替えていく。が難しい。

失敗は二次障害の元。
そこで、適切な支援を受けて、成功体験を積ませていく。

成功が発達の元。
特性の分析を行って、成功体験を増やす作戦を練る。

そこに支援者の専門性が出る。
専門家だけで作戦や立案をしてはいけない。
本人や保護者と一緒に作戦を練る。
本人が一人で支援できるのが最終目標。

成功体験が増えると、本人、家族の手応えが増える。
失敗体験が多いと、特性を理解できない。直視しづらい。
成功体験が増えると、自分を振り返ることができる。
自分でも自分の特性を理解して、それに合わせた対処療法ができるようになる。このようにして当事者能力ができる。

困った時は自分にあった対処をする。
それでも本当に困った時は、躊躇なく、何度でもSOSを出していい(これなまら大事)。

6-2) 事例:成人の重度の知的障害と自閉症(併発)の人。

作業所の中でパニックを起こす。
理由もなくパニックになるので、本人も周囲も困っている。
ある日、ドクターが薬を処方。周りは薬をあげるタイミングに難渋していた。
当事者がパニックになりそうな時に薬を渡していた。
薬を出したところ、薬を飲んで安心。パニックを起こさずに住んだ。
コミュニケーションが困難。
薬がどんなものかもわかっていない。
不安定になると、職員に薬を求め、薬を飲めるようになった。
それがこの人の当事者能力。
どんなに重症な人でも、そのようなことができる。

困った時に支援を受け、成功体験を重ねていく。
一生涯生きていける。

特定の人だけを指して障害呼ばわりする傾向があるけど、誰もが発達の凸凹がある。
その人の背景や特性を知らずに障害呼ばわりする人も見受けられるが、それは差別。

もし、あなたが差別される側になったら?
あなたが発達障害の当事者でなくても、家族(配偶者、子供)に当事者が居たらどう?
それでも差別しますか?排除しますか?

もう発達障害を知らなかった時代には戻れない。
「障害者はわからないから怖い」ではなく、正しい知識を持ってください。
この講義は正しい知識を得る第一歩です。

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