マニュアルに書かれていないことを補完していますか?

2012年、卒業3週間前の出来事。
研究室の4年生が「沈殿が溶けた」と訴えてきた。

彼は、わたしが作成したマニュアルを見て作業した。
わたしは何度もこの実験をしていたが、このような事例は一度もなかった。

原因は、試薬調製の際、水酸化ナトリウム(NaOH)と塩化ナトリウム(NaCl)を違えていたこと。
NaClを使うのに、NaOHを使ったことが、沈殿が溶けた原因。

ヒアリングしていくと、彼は勝手な思い込みで実験していた。
「ここで説明が止まっているから、実験を止めていいと思った」
「ここまではノンストップと書いてない」
「マニュアルが不親切」

わたしはブチキレた。
「なぜ訊きにこない?」と。

「どこで実験を止められますか?」
「この手順はこの解釈で合っていますか?」
確認すればいいでしょ。

マニュアルは作業するために必要な情報は盛り込んでいる。
でも、業界に居ればわかることは書きません。
試薬の危険性、廃液の区分、装置の使い方など、実験室に居ればわかることはもちろん書かない。
電化製品のマニュアルならともかく、研究室のみで使用する実験手順書ならなおさら。

このようなことは、マンツーマンで教わるか、実験者がマニュアル作成者や経験者に聞いて補完するのです。

勝手な思い込みで作業して、記述されていないことを、マニュアル作成者の所為にしないで。「てめえのマニュアルが悪いんだよ!」などと言ったら、今後何も教われなくなりますよ。

同一の作業を他の人から習える環境ならいいのですが、そうでなかったら?
自分を袋小路に追いやるだけですよ。
孤立無援です。

謝罪しても許されると思うな。
最悪、マニュアルさえも渡されない場合もありますよ。
大学の研究室など、小さな組織なら、一層。

100億歩譲って、作成者からマニュアルは渡されたとします。
でも、古いバージョンのマニュアルだったら?
周りの人は最新バージョンのマニュアルを入手できるのに、あなただけ情報がお古のまま。
しかも、最新バージョンのマニュアルの入手方法も教えてもらえない。
負のスパイラルだよ。

要望は丁寧に伝えよう

マニュアル作成者に要望があれば伝えればいい。
穏やかな口調で、丁寧に、誠実に伝える。

「○についても記載をお願いできますか?」
「△の手順を、もう少し詳しく書いていただけませんか?」と。

くれぐれぐれも、高飛車な言い方は禁止。
マニュアル作成って、決してラクな仕事ではないからね。

それか、あなたが追記しても良いかどうか尋ねる。
「○の件で追加情報があるので、自分が追記してもよろしいでしょうか?」と。

注意点は、マニュアル作成者に必ず確認を取ること。
勝手に手を加えられることを嫌がる人も一定数います。
ゆえに、必ず、作成者から加筆修正の承諾を得てください。

あなたがブラッシュアップの提案とマニュアル作成を実行すれば、マニュアル作成者も周りも喜びます。
あなたの株が爆上がりですよ。

マニュアル作成者も人間です。
「不親切なマニュアル!」と目くじら立てる前に、抜けている内容は自分で補完しましょう。
それもせずにマニュアル作成者を責めるのは筋違いですよ。

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