映画「台風家族」レビュー

草彅剛さん主演映画。
9/6~9/26の、3週間限定公開です。

10年前に銀行強盗を起こし、その後行方不明の両親。
両親の葬式と遺産相続を行うため、集結した鈴木家の兄弟。
そこで繰り広げられる相続争いと、父への批判。

前半は遺産相続争い、父親の悪口にまみれています。
後半から、子供たちが家を出た後の、父と母の生活や、子に対する親の思いを知る兄弟たち。

なんかもんにょりというか、アンフェアな展開でした。

1) 父親・一鉄と主人公・小鉄の和解

鈴木小鉄(草彅さん)は長男。
父親の一鉄から、家業の葬儀屋を継ぐことを強制されていた。

他の兄弟の京介、麗奈、千尋は好きな道を選ばせてもらえたのに、それが許されなかったことを恨んでいる。

小鉄は家業を継がず、「役者になる」と行って家を出た。
それ以来音信不通。

前半では一鉄への恨みつらみ、罵詈雑言のオンパレード。
後半で一鉄が作成したビデオテープがテレビに映る。
ビデオの内容は、小鉄が出演していた映画全てのシーンを編集したビデオだった。
映像を見て涙する小鉄。

うーん。
「接し方がわからなかった」「不器用なりに子供を思っていた」とか、そのようなエクスキューズで子供が納得するわけないでしょう。
映画だから許されるけど、現実なら許されない。
「表現の仕方がわからなくて傷つけたけど、子供を思っていた」という美談にするのはやめて。

2) 一鉄が銀行強盗を働いた原因が唐突

物語後半、ある女性が現れる。
彼女はかつてコールセンターに勤めていた。
それも、振り込め詐欺の電話をするコールセンター。
「息子(小鉄)が交通事故を起こし、2000万円必要だ」と、弁護士のふりをして電話をした。

2000万円のために銀行強盗を働いた一鉄。
ところが、お金の受け渡しができないまま、一鉄は行方不明となる。

「私が詐欺の電話をしなければ・・・」と悔やむ女性。

んんん。
彼女の登場、唐突すぎないか?
終盤に近い場面で登場したから、なおさらもやもや。
その前から伏線はあったんだけど、なんだか展開が急すぎる。

ストーリー展開は難ありですが、草彅さんの演技は圧巻です。
あれだけ下品な人物を演じても、下品に見えないのは、草彅さんのなせる技かと。
他の役者の演技も見事でした。

ストーリー

鈴木小鉄は妻・美代子と娘・ユズキとともに実家に向かっていた。
目的は両親の葬式と遺産相続。

小鉄の両親は10年前に銀行強盗し、行方不明になっていた。

小鉄の弟・京介と、妹・麗奈も葬儀に出席。
2人の目的も遺産相続。

小鉄、京介、麗奈の3人で、遺産の取り分を争う。
「遺産は全額俺がいただく」と譲らない小鉄。
娘のユズキにも軽蔑される。

争いの中、麗奈の恋人のトシオが現れる。
また、末っ子の千尋も現れた。

千尋は葬儀の様子から相続争い、全ての会話をネット配信していた。
小鉄、京介、麗奈は一躍時の人となったが、フリーターの千尋には何も影響がなかった。
「キャッチーになれた3人が羨ましい。俺はYouTuberになる!」と宣言。

当初はネット中継をやめるように説得する小鉄だが、ネット配信を続けた。
小鉄はカメラの前で「クズで結構、ゲスで結構、最低で結構」と叫び続ける。
呆れる家族たち。

部屋を片付けていると、大量の張り紙を見つける。
母・みつこが認知症であったことを知る兄弟たち。
それぞれが家を離れてからは、音信不通だった。

一鉄のことを少しずつ思い出していく小鉄たち。
父親への憎しみが、少しずつ薄らいでいく。

2階の部屋にある映画ノートを見るユズキ。
映画ノートは小鉄が作成したもの。
美代子がユズキに話しかける。
「お父さん、かつては俳優だった。
でも、あなたが5歳になったとき、スパッとやめた。
ちょうどピアノを始めたとき。
あなたの夢を叶えることが、自分の夢になった」

「おじいちゃん(一鉄)との関係があれだから、どうやって娘の夢を応援して良いかがわからない。
どんな汚い手を使っても、娘の夢を叶えてあげようとしている。
だから遺産やお金に固執している」

小鉄の真意を知るユズキと兄弟たち。

台風の夜。
京介は仕事に戻るといい、鈴木家を後にする。

ワインを開けようとする小鉄。
「昔キャンプに行った時、親父がこうやって開けていた」と話す。
麗奈との思い出話に花が咲く。

「お母さん、山より海がいいって言ってたね。
翌日、海に行ったんだっけ・・・」
「いや、行っていない。」
「なぜ?」

テレビのリモコンをぶん投げるユズキ。
つかなかったテレビがついた。
小鉄が役者時代に出演した作品をまとめたビデオテープが再生された。

それは一鉄が編集したもので、一鉄とみつことで一緒に見ていた。
一鉄の思いを知り、涙する小鉄。

その時、海に行っていない理由も思い出す。
「台風が来たから海に行けなかった」

京介が戻って来た。
ある女性を連れて。
女性の名は富永月子。

一鉄が銀行強盗を起こしたのは、自分のせいだと話す富永。
彼女は振り込め詐欺を行うコールセンターで働いていた。

最初にかけたのが一鉄。
「息子が事故を起こして、2000万円必要です」と、弁護士のふりをして電話をかけた。

突然、ユズキが思い出す。
「お父さんが運転免許をとったこと、おじいちゃんに話した。
秘密にしてねと言われていたのに・・・」

免許を取得して間もなかった小鉄が事故を起こしたと信じ込んだ一徹。
それゆえに銀行強盗を起こした。

その後連絡が取れなくなった。
富永はその後すぐコールセンターを辞めたが、詐欺のことを話すなと上司に脅されていた。

台風の中、勝岳キャンプ場へと向かう鈴木家。
そこは幼少期に家族でキャンプに行った場所。
嵐の中、林道を歩く。
川で白骨化した一鉄とみつこを発見する。

一鉄は2000万円の受け渡し途中、体調を崩したみつこに気づく。
勝岳キャンプ場の河原で横たわる二人。
みつこを背負って下山しようとしたが、頭を岩にぶつけ、還らぬ人となった。

二人は海へと流れていった。
流される二人を追う小鉄たち。

台風が去った早朝。
海で走り回る小鉄たち。

記念写真を撮る。
そこにはいないはずの、一鉄とみつこも写っていた。

親が亡くなってから、親の子に対する思いに気づくのは現実でもあるかと思う。
だが、なぜ生きているうちに伝えないのか、疑問に思う。
「不器用なりに子供を愛していた」としても、子供に伝わらなければ無意味。
感情移入できない映画でした。
ただ、出演者の演技は素晴らしいです。

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