映画「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ」レビュー

クレヨンしんちゃんの映画「」を見ました。
2018年公開です。

しんのすけと幼稚園の友達で結成したカスカベ防衛隊のカンフーアクション映画です。
ギャグシーンが多いですが、途中考えさせられるシーンもあります。
どちらも現実味を帯びているな、と思いました。
以下に述べます。

1) ブラックパンダラーメンに病みつきになる人々

埼玉県春日部市では、ブラックパンダラーメンが大人気。
病みつきになる美味しさと大評判。

だが、食べた人は凶暴化してしまう。
ブラックパンダラーメンを求めて、暴動に発展。
挙句の果てには廃人と化す。

現実にブラックパンダラーメンは存在しないが、何かに病みつきになり、暴動に発展することは大いにありうる。
ブラックパンダラーメンを求める人々の姿が、ゾンビに見えた。

2) 行き過ぎた正義で人格が変わる

プニプニ拳の奥義を習得したラン(本作のヒロイン)。
彼女の目的は、アイアータウンに平和を取り戻すこと。

ぷにぷに真掌を会得したランは、ブラックパンダラーメン騒動の黒幕である、ドン・パンパンとの戦いに勝利する。
しかし、小さな過ちも許せなくなり、人格が変わってしまう。
ブラックパンダラーメンで凶悪化した市民さえも、奥義で思考停止させてしまう。

ランの姿を見た者は姿を隠すようになる。
次第に孤立するラン。

行き過ぎた正義も、また別の対立を生むのかな、と考えさせられるシーン。

ストーリー

春日部で人気沸騰のブラックパンダラーメン。
一度食べれば病みつきになると評判。
連日多くの人が行列をなしている。

ところが、ブラックパンダラーメンを食べられず、客が暴力事件を起こす。
「ラーメンを食べられないくらいで暴力とは・・・」と呆れる野原一家。

幼稚園で、ジェシカの練習に励むしんのすけたちカスカベ防衛隊。

ある日のこと。
マサオは年長組の園児に絡まれる。
格闘技の型を見せ威圧するマサオ。
「何か秘密があるに違いない」と、しんのすけ達はマサオの後を追う。

マサオはアイアータウン内の小さなお店で、ぷにぷに拳の修行に励んでいた。
しんのすけたちも一緒に修行することに。

プニプニ拳をマサオに伝授する師匠。
師匠の孫娘で愛弟子のランも一緒に修行する。

そんな中、ブラックパンダラーメンはランたちに立ち退きを要求してきた。
拒否すると攻撃を仕掛けてきたが、師匠により敵退治に成功。

ブラックパンダラーメンは店舗を増やし、ブラックパンダヒルズを建設しようとしていた。
かつてのアイアータウンは平和だったが、ブラックパンダラーメンのせいで殺伐としていた。

ある日。
みさえは買い物に行ったデパートで、ブラックパンダラーメン無料試食に勧誘される。
ところが、ひまわりが丼をひっくり返し、麺を食べてしまう。
出させようとしたが手遅れ。
向かいの席に座った女性が、「ブラックパンダラーメン」と言い、みさえたちのラーメンを全て食す。
彼女はすでに凶悪化していた。

その日の夜、ひまわりの様子がおかしくなる。
夜泣きが止まらず、ひろしやみさえを引っ掻く。
ランにひまわりを見せると、「ブラックパンダラーメンを食べたせい」と断言される。

ランは独自にブラックパンダラーメンを研究していた。
凶暴化の原因と治す方法を調査していたが、原因も治療法もわからないまま。

しんのすけたちはブラックパンダヒルズに侵入し、凶暴化の原因を探る。
麺の製造現場にいるドン・パンパンが、麺生地の秘孔を突き、凶悪化させていることが判明。
それらの様子をスマホに収めるが、侵入したことがバレる。
間一髪でランが助けにきたので、パンダラーメンヒルズからの脱出に成功。

アイアータウンは既にブラックパンダラーメンに汚染されていた。
周りはブラックパンダラーメンで凶悪化した人ばかり。
師匠は戦うものの、ドン・バンバンに秘孔を突かれ、特定の言葉しか発せなくなる。

「もうアイアータウンに来ないで」と告げられるしんのすけたち。
だが、ランに会いたい一心で、再びアイアータウンへ。

そこで修行するランの姿を見たカスカベ防衛隊。
「師匠は話せない。人々を元に戻す方法もわからない。それでも元の平和なアイアータウンを取り戻す」と闘志を燃やすラン。しんのすけたちも協力することに。

9つの技を習得したしんのすけとラン。
奥義を習得するために、中国へと向かう。

そこでプニプニ拳の妖精、プンプンから質問を受ける。
プニプニ拳の奥義は、相手の思考をプニプニにし、争いのない平和な世界を作るもの。
心が柔らかい人間にのみ、習得を認めている。

奥義の習得を認められたのはしんのすけ。
しかし、奥義を習得できる飲み物がまずそうだという理由で、奥義を習得せずに終わる。
ランは奥義の習得を認められなかったが、飲み物を飲み、奥義を習得する。

アイアータウンに戻り、ドン・バンバンと戦うラン。
奥義で勝利するも、市民までも奥義で攻撃した。
「ラーメンのせいとはいえ、凶悪化した人は悪。街を平和にするにはこれしかない」と言い放ち、人々を思考停止させていく。

「それは正義じゃない」と止めるしんのすけ。
しんのすけとランは戦うが、決着はつかない。

ランは些細なことも許せず、奥義で相手を思考停止させ続ける。
臭い足も悪。
たるんだお腹も悪。
コンビニで他人の傘を使うのも悪。
公共の場で映画のネタバレをするのも悪。

次第に人々から避けられ、孤立する。

アイアータウンに戻ると、ランの家がなくなっていた。
ゆりかごもゴミ箱に捨ててしまう。

ドン・バンバンとの戦いが終わった後も、ひまわりは凶暴なまま。
ひろしとみさえも疲弊している。
そんな中、風間くん、ネネちゃん、ボーちゃんが、しんのすけを訪ねてくる。

行き先はマサオがいる場所。
マサオは師匠と一緒に、河原で生活していた。
「ひまわりちゃんは元に戻るよ。
ランさんのタンポポに水を与えていたら、元のタンポポに戻ったんだ。
普通のものを食べさせていれば、きっと元に戻るよ。」としんのすけに伝える。

マサオ曰く、師匠と生活していると、師匠が伝えていることが何と無くだがわかるとのこと。
ランの心も、カスカベ防衛隊が柔らかくすると決める。

別の日。
ランの正義を倒しに来たと伝えるカスカベ防衛隊。
彼女の前でジェシカを踊る。
みさえ、ひろし、ひまわりはもちろん、ブラックパンダラーメンを食べて凶暴化した人々が皆踊る。
最後にはランも一緒に踊り、笑顔が戻る。

ランはアイアータウンを離れ、旅に出る。
もっと広い世界を見る修行に出る。
師匠と家族、カスカベ防衛隊は、アイアータウンの橋からランの旅立ちを見送る。

ロボトーちゃんよりもギャグが多めです。
ブラックパンダラーメンによる凶暴化と、行き過ぎた正義が招く対立と孤立は、現実世界に警鐘を鳴らしていると思いました。
説教臭さが一切なく、楽しく見られる映画です。

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