映画「半世界」レビュー

SMAPの稲垣吾郎さん主演映画「半世界」を観た。

結論が曖昧な映画。

映画のサブタイトルが「描いた人生になってる?」
しかし、映画はそれを問う内容ではない。
その答えを提示する内容でもない。

稲垣さん演じる主人公・高村絋(コウ)と、幼馴染・沖山瑛介、岩井光彦の3人を中心に関わる人々の日常を描いている。

個人の見解だが、「死を想え」と伝えたい作品なのかな?と思いました。
「描いた人生になってる?」の問いに対し、登場人物らが、理想通りといかないまでも、理想の生き方に近づくように歩んでいくものだと予想していたためです。

ストーリー

主人公・高村絋の幼馴染の一人、瑛介が三重県に戻る。
瑛介が生家に戻るのを見た絋は声をかけるが、瑛介は鬱陶しそうに対応する。
瑛介の家は母親が亡くなってから手付かずのまま、老朽化していた。
瑛介は妻子と別れ、また自衛隊を退職して戻ってきた。

瑛介が戻ったお祝いとして、絋と光彦の3人で帰郷を祝う。
途中、絋の中学生の息子・明が帰宅するが、挨拶もせずに部屋に篭る。

翌日、瑛介の自宅の修理と片付けを手伝う絋たち。
絋はお節介をやくが、瑛介はどこか拒絶していた。

光彦は絋に「明に対して無関心だ」と指摘する。
「絋の親父は絋にもっと関心があった」とも。

明は学校で暴力を受けているが、絋は「田舎にいじめなんてない」と、聞く耳を持たない。
絋の妻・初乃はいじめに気づいてはいるものの、明は何も話そうとしない。

スナックからの帰り道に、明を見かける絋。
「靴をちゃんと履け」と注意するが、明は無視。
「関心を持ったのに・・・」とぼやく。

家族関係もうまくいかない絋に追い討ちをかけるように、仕事も上手くいかなくなる。
絋は父親から窯を継ぎ、炭職人として生計を立てていた。
ところが、取引中止を告げられたり、買ってもらえる炭の量が減る。

ある日、絋は瑛介に声をかける。
「俺の仕事、手伝えよ」と。

瑛介は戻ってからというもの、食品の買い出し以外は自宅に篭っていた。
瑛介は最初は渋々だが、次第に炭職人の仕事に意欲を見せる。

窯に木材をくべたり、炭を窯から出して冷やしたり、作った炭を取引先に届けたりと、絋と共にいるようになる。
帰郷当初は心を閉ざしていたが、瑛介は徐々に心を開いていった。
海でおしくらまんじゅうをしたり、歌を歌ったりと、童心に帰る。

ある日の昼下がり。
瑛介は明が同級生に暴力を振るわれているところを目撃する。
静かに加害生徒に近づき、「本物の銃で人を殺したことあるか?」と問う。

戸惑う生徒。
「本物の銃で人を殺したことあるか?」と大声で生徒に問い、明を連れてその場を離れる。
明に武術(護身術)を教え、一緒にうどんを食べる。
うどんを食べながら、絋の父親(明の祖父)は絋を殴る人だったこと、絋が炭職人を継いだのは意地であることを伝える。
「自分が選んだ道が正解だと信じたい。それに手一杯で明や周囲に気が回らない」とも。
大きな反応は見せなかったが、絋との距離を縮めようとする。

ある日の夜。
海で一人でいる絋に毛布を持っていく明。
毛布にくるまり、一緒に海を見る。
言葉はないが、父と子の溝が埋まりつつあった。

ある春の日。
明は暴力を振るった同級生を炭でぶん殴った。
地面に横たわる加害生徒。
主犯の生徒が、「もう行っていいよ」と明に告げる。
彼も前の学校にいたときに、暴力を振るわれたとのこと。
それ以上は何も言わず、明にこの場を離れるように促す。

初乃は同窓会があるといい出かける。
同窓会というのは口実で、老舗旅館に絋が作った炭を売り込みに行った。

同じ日の昼、窯で弁当を食べていた絋。
初乃に電話をかけるがつながらず、留守番電話にメッセージを残す。
その数分後、突然苦しみ出し、病院に運ばれる。

翌日、絋は帰らぬ人となる。

タイムカプセルを掘るために山に入る瑛介と光彦。
タイムカプセルの中身を一通り見た後、再び地面に埋める。
瑛介はバスに乗り、別の場所へ。

初乃と明は窯で炎を眺めていた。
「プロボクサーになろうかな」というと、「根性なしだから無理だ」と初乃に返される。

それから数ヶ月後、明が窯へ。
窯にはボクシングのサンドバッグがある。
グローブをはめてサンドバッグを殴る明。
それを見守る絋(遺影で見守っている)。

最後は黒い画面となり、絋が残したメッセージで終わる。

序盤、絋が瑛介にはお節介を焼くのに、明には無関心であることに怒りを覚えた。
明に関心を持つように促されるも、ピント外れの関心ばかり。
そもそもそれ、関心とは言わない。
(自分も人に対して興味が希薄だが、密に関わる人に対する関心は持つようにしている。
完全解を持っているわけではないが、それは違う!と叫びたくなったため)

随所に三重県の風景(山や海)が映る。
風景シーンで一番印象に残ったのが、炭を窯から出すときの音。
カランカランという高い音が美しい。

問題提起の映画でもないし、具体的な答えを示している作品ではないです。
バットエンドともハッピーエンドともつかない終わり方です。

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