映画「クソ野郎と美しき世界」レビュー

新しい地図の映画「クソ野郎と美しき世界」を観た。
4つの物語から成る映画。

感想としては、好き嫌いが分かれるところ。
香取慎吾さんの「慎吾ちゃんと歌喰い」、物語を締めくくる「新しい詩」は良かった。

「詩喰い」は不思議な感覚になる作品。
「新しい詩」は、3人のこれからを表している作品という、印象を受けた。

以下、ストーリーと感想を記す(ネタバレあり)。

「ピアニストを撃つな」

稲垣吾郎さん出演。
稲垣さん演じるピアニスト・吾郎よりも、フジコと彼女を追う大門(マッドドッグ)と取り巻きたちの物語。
マッドドッグと取り巻きがもはやバイオレンス映画の雰囲気を醸し出している。

(ストーリー)
吾郎が動物園でモルモットを撫でていると、フジコが吾郎に声をかける。
吾郎はフジコのことを毛嫌いするが、フジコは諦めない。
「私に会いたくなったらこの花火を打ち上げて」と、打ち上げ花火を吾郎に渡す。

同じく動物園に来ていたマッドドッグ一同。
マッドドッグはフジコを見て一目惚れしてしまう。
「付き合ってください」というマッドドッグの申し出に応じるフジコ。

動物園での出来事から数日経つが、フジコのことを忘れられない吾郎。
様々な女性と付き合うものの、フジコのことが頭から離れない。

ある日、フジコから渡された花火を打ち上げてしまう。
フジコは打ち上げ花火の音を聞き、マッドドッグの家を出て、吾郎の元へ向かう。
そのフジコを追いかけるマッドドッグ一同。

吾郎とフジコは再会を果たすが、マッドドッグはフジコを奪った吾郎が許せない。
吾郎の指を砕き、ピアノを弾けなくすると言い放つ。
指を砕くシーンで物語終了。

なぜ1発目からバイオレンス映画なんだ?
稲垣さんを除く登場人物が受け付けない。下品。
「ピアニストを撃つな」というタイトルでありながら、拳銃のシーンがない。
せっかく稲垣さんをメインに据えるのなら、もっと上品な作品にしてほしかったなぁ。
人物でなくても、ピアノや音楽が鍵となる物語。
ドンパチではなくて、ミステリーでも良かったのにな。

「慎吾ちゃんと歌喰い」

香取慎吾さん出演。

(ストーリー)
街中の壁に絵を描いたという罪で警察の事情聴取を受ける香取慎吾。
「画家として地位を築いたのだから、絵は家で描けばいい。外では歌いなさい」と告げられる。
「歌うのだって、一人でもいいし、誰かと一緒に歌ってもいいじゃない」とも。

かつては歌を歌っていたという慎吾。
ところが、突然歌えなくなったという。

そのころ、都内で、歌がなくなる事件が起こる。
ストリートミュージシャン、流し、プロ歌手。
歌詞を失念しているのではなく、歌そのものがなくなってしまう。

絵を描きたい衝動を抑えられず、深夜に自宅を飛び出す慎吾。
街中の壁に絵を描こうとするも、警察官に言われた言葉が脳裏をよぎり、絵を描くのをやめる。
歌を歌おうとするも、歌が出てこない。

ふと後ろを見ると、少女がいた。
少女は突然「お腹が痛い」と言って、倒れてしまう。

少女の名は歌喰い。
歌を食べて生きている。
良い歌は美味しく、良くない歌は不味いとのこと。
慎吾の絵を見て「絵に音がある」と言う。

歌喰いは、歌えなくなった人たちが歌えるようになる方法を慎吾に教える。
方法を実践すると、プロ歌手は再び歌えるようになった。
慎吾の歌を返すため、歌喰いは慎吾の自宅に泊まる。
「子守歌を歌ってほしい」といい、子守歌を歌ってもらうも、それを食べてしまう。

翌朝。
歌喰いの姿がない。
見ると絵もなくなっているシーンで物語終了。

セリフや小道具の一つ一つに、SMAPが歌を歌えなくなったことを暗示しているような印象を受けた。
警察官と慎吾の会話のやり取りに顕著に表れている。
警察署のポスターに「いじめは犯罪です」の文字。
そこだけをくっきり写している。

どこか切なくて、不思議な気持ちになる物語。

「光へ、航る」

草彅剛さん出演。
冒頭からショッキングなシーンで始まる。

(ストーリー)
妻(尾野真千子さん)と不倫している男性を脅し、金を巻き上げる剛。
男性は部屋を出てしまうが、その後、二人は口論になる。
妻は「ワタルを返せ」と泣き叫ぶ。

ワタルは、二人の息子。
不慮の事故に遭い、治療を受けるも、他界してしまう。
その際、右腕を少女に移植される。

ワタルの右腕を探すため、北へ向かう二人。
その道中でも喧嘩になる。

腕の移植を受けた子供は、沖縄にいることが判明。
ところが、その子供は誘拐されてしまう。

子供を助けるため沖縄へ行く二人。
誘拐犯を見つけ、少女を助け出す。

移植を受けた少女の名はヒカリ。
二人はヒカリを抱きしめる。
ヒカリもふたりのことを、「パパ」「ママ」と呼ぶ。

ワタルがお気に入りだった野球ボールを投げるヒカリ。
ボールが剛に当たったシーンで物語終了。

冒頭の暴力シーンはいらない。
なんのためにそのシーンを撮ったのだろう。
無駄なお涙頂戴の演出もなく、淡々と話が展開していくので、そこさえなければ印象に残る物語。

「新しい詩」

新しい地図の3人と、これまでの物語に出演した人物全員が登場する。
物語というより、ミュージカル。

(ストーリー)
楽しくピアノを弾く吾郎。
派手な化粧をやめたフジコと一緒に連弾する。

二人を見ているマッドドッグ。
「フジコは吾郎の才能に惚れたんだ。ピアノが弾けないピアニストと勝負しても意味はない」といい、自身の負傷した手を取り巻きに見せる(手袋をはめている)。

盛り上がっている会場に現れた慎吾。
新しい歌を歌い踊る。
会場は大盛り上がり。

マッドドッグの前に現れた剛。
誘拐事件解決への協力について、マッドドッグにお礼をいう。
(犯人の居場所を突き止める際に、マッドドックに協力をお願いしていた)

ワタルのボールをマッドドッグとキャッチボールする。
ところが、ボールがパーティ会場に転がってしまう。
ボールを必死に探す剛。

吾郎、慎吾、剛の3人が近づいたところで、動きが止まる。
そしてエンデイング。

香取さんが歌った歌の、メッセージはよくできていた。
SMAP解散騒動の心情、新しい地図立ち上げとこれからを、明るい音楽に乗せている。

脈絡がない物語が、最後どのようにつながるのかが気になった。
3人は直接繋がっていないが、別の物語の出演者とでつながりがあることが明かされる。
もっと人物を複雑に絡ませても良かったのではないかとも思う。

ただ、暴力シーンは出さないでほしかった。
4作品中2作品がバイオレンスというのはいかがなものか。
「探偵はBARにいる」と似たようなショックを受けた。

個人的な意見だが、この映画を見るなら、「Clip SMAP コンプリート」の方が価値がある。
映画とミュージックビデオ集とを比較するのもおかしいかもしれないが、「Clip SMAPコンプリート」も短編映画集と考えると、よくできている。
特にDisc2(smac以降の楽曲、2001~2015)は、どれも映画のクオリティ。

あと、2001年頃SMAPxSMAPで放送された、「SMAP Short Films」の方が出来栄えがいい。
こちらは草彅さんと香取さんの2人が出演。
4~5の物語で構成されている(それぞれの話につながりはない)。

今後の新しい地図がどのような展開になるのか楽しみです。
下品だったり暴力的な映像ではなく、見ていて明るい気持ちになれるような作品を作っていってほしいです。

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