なぜか?
カメラはコミュニケーションツールだから。
わたしは元々人と話すのが苦手だった。
苦手を通り越して嫌いだった。
なぜわざわざそんな面倒なことをしなければならないのかと、常に思っていた。
だけど、今はそんなことは思わない。
そう思わなくなったのは、写真を撮り始めた3年前からだ。
昨年、京都に行った。
バスに乗り、地元の人と話した。
(IC乗車券を使えるかどうかを訊きたかった)
「どこから来たの?」
「札幌です」
「よく来はりましたねぇ」
「清水寺の紅葉が綺麗だと聞いたので撮影に来ました。今年は紅葉を2回見られてラッキーです」
「今がいい季節よ。バスツアーもあるの」
「嵯峨野の紅葉も綺麗よ。京都駅から15分くらいだから、行ってみてね」
話をしているうちに、バスは目的地にたどり着いた。
相手にお礼を行って下車。
話をしていたのは5分程度だと思う。
それでも、ずっとしゃべっていたような感覚だった。
先月の霞ヶ浦でも同様のことがあった。
帆曳き船を撮影していると、地元の人が話しかけてきた。
船の見頃や、船に接近できる場所を教えてくれた。
袋田の滝でも。
どこに行っても、カメラを持っているというだけで、話しかけられる。
そして、会話を楽しんでいる自分がいることに気づく。
話しかけられるといっても、プライベートなことには触れない。
その土地のオススメの場所を教えてくれることがほとんど。
延々しゃべくり続ける人もいない。
一通り話したら、静かに去っていく。
人と話すのが苦手な人こそ、カメラを持って旅に出よう。
旅と言っても、何ヶ月も放浪したり、遠くに行く必要はない。
日帰りできる距離で充分。
カメラを持っているだけで、人と話すきっかけが生まれる。
だからこそ、カメラを持って出かけよう。